米国が北朝鮮の核搭載ICBM(大陸間弾道ミサイル)になぜ敏感なのか
・米国本土を直接狙える上に、迎撃失敗の可能性が十分にある。
・ICBM迎撃実験はGBIミサイルで過去1回のみ実施、結果は成功(2017.5.30)
…【トランプ政権】ICBM迎撃実験 「成功」と発表 北朝鮮にらむ
…産経ニュース、2017.5.31 09:37更新
・ICBMは迎撃可能なことを実証したが、迎撃率は不明
…迎撃失敗で着弾する可能性も十分ある。→着弾、核爆発、被害甚大
・過去、何度も迎撃実験しているが、標的はICBM以外の弾道ミサイル
…MRBM等(準中距離弾道ミサイル等)、ICBMより射程距離が短く、飛行高度が低く、飛行速度が低い弾道ミサイル
(訂正以上)
※wikipedia-弾道ミサイル >> 分類 >> 射程による分類
現在ある弾道ミサイルは以下のように分類することができる。ただしこの分類は厳格な定義では無い。(中略)
大陸間弾道ミサイル(ICBM)
…射程約6,400km(4000マイル、ほぼ地球の半径に等しい)以上のもの。米ソ間で結ばれたSALT-IIでは、両国の首都地域(アメリカ合衆国東海岸とヨーロッパロシア)の距離を考慮して、射程5,500km以上のものと定義。
中距離弾道ミサイル(IRBM)
…射程2,000-6,000km程度のもの。
準中距離弾道ミサイル(MRBM)
…射程800-1,600km(500-1000マイル)程度のもの。
短距離弾道ミサイル(SRBM)
…射程約800km(500マイル)以下のもの。
(引用以上)
※【北ミサイル】大陸間弾道ミサイル(ICBM)とは
…産経ニュース、更新
■大陸間弾道ミサイル (ICBM)
太平洋などをまたぐ超長距離を飛行できる弾道ミサイルの総称。米国と旧ソ連の間で行われた戦略兵器制限交渉により、一般に射程5500キロ以上と定義される。米国、ロシア、中国が配備済み。北朝鮮は今年1月、試射準備が「最終段階に達した」と表明。7月4日に「火星14」の発射実験を行い、「成功した」と発表した。
※平成20年版防衛白書
…第Ⅲ部第1章第2節1「弾道ミサイル攻撃などへの対応」、1「わが国の弾道ミサイル防衛」
(引用以上)
※GBI以外の弾道ミサイル迎撃ミサイル
・SM-3ミサイル
…洋上配備型
…中間段階での迎撃(ミッドコース・フェイズ、宇宙空間での慣性飛行段階)
…→MRBM(準中距離弾道ミサイル)は広範囲で迎撃可能(敵ミサイルの飛行コースに迎撃ミサイルが直交して迎撃)、IRBM(中距離弾道ミサイル)は限定した状況のみ迎撃可能(敵ミサイルの飛行コースに迎撃ミサイルが正対して迎撃) (訂正以上)
…wikipedia-RIM-161スタンダード・ミサイル3(SM-3ミサイル)
・THAADミサイル
…地上配備型
…終末段階での迎撃(ターミナル・フェイズ、大気圏再突入段階)
…ICBMへの対処能力は不明
…wikipedia-THAADミサイル
・PAC-3ミサイル
…地上配備型
…終末段階での迎撃
…ICBMへの対処能力は不明
…wikipedia-パトリオットミサイル(PAC-3ミサイルを含む)
以下、添付資料
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添付資料一覧
一部引用
・【トランプ政権】ICBM迎撃実験 「成功」と発表 北朝鮮にらむ 産経ニュース、2017.5.31 09:37更新
・wikipedia-弾道ミサイル
・wikipedia-弾道ミサイル >> 分類
・wikipedia-GBI(ミサイル)(米国のICBM迎撃ミサイル、地上配備型)
・wikipedia-ミサイル防衛
・wikipedia-ミサイル防衛 >> アメリカのBMD構想
以下、引用文
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【トランプ政権】ICBM迎撃実験 「成功」と発表 北朝鮮にらむ 産経ニュース、2017.5.31 09:37更新
【ワシントン=黒瀬悦成】米ミサイル防衛局は30日、米本土に対する大陸間弾道ミサイル(ICBM)攻撃を想定した初の迎撃実験に成功したと発表した。実験は、北朝鮮が米本土に到達可能なICBMの開発を進展させている現状をにらみ、ミサイル防衛体制を確立するのが狙い。同局のシリング局長は「実験は、極めて現実的な脅威に対して米国が有効かつ信頼に足る抑止力を確保していることを示した」と述べた。
迎撃実験では、太平洋のマーシャル諸島クエゼリン環礁からICBMを模した標的を発射。太平洋上の海上配備型Xバンドレーダーがこれを捕捉し、西部カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から地上配備型迎撃ミサイル(GBI)が発射された。同局によると、迎撃ミサイルに搭載された「大気圏外弾頭破壊飛行体」が空中で標的に直接命中し、標的は破壊された。
国防総省のデービス報道部長は実験前、記者団に「今回の実験は、北朝鮮情勢の緊迫化に合わせて実施するわけではないが、米国がミサイル防衛能力を確保する理由の一つが北朝鮮(の脅威)であるのは明白だ」と語った。
GBIによる迎撃実験は1999年~2014年6月に計17回実施され、うち9回成功している。従来は中距離弾道ミサイルなどを想定した実験だったが、今回の実験ではICBMを模して飛行速度を一層高めたとしている。
GBIはアラスカのフォート・グリーリー基地に32基、バンデンバーグに4基が配備されている。国防総省によれば今年末までに8基を増強する予定。
迎撃実験では、太平洋のマーシャル諸島クエゼリン環礁からICBMを模した標的を発射。太平洋上の海上配備型Xバンドレーダーがこれを捕捉し、西部カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から地上配備型迎撃ミサイル(GBI)が発射された。同局によると、迎撃ミサイルに搭載された「大気圏外弾頭破壊飛行体」が空中で標的に直接命中し、標的は破壊された。
国防総省のデービス報道部長は実験前、記者団に「今回の実験は、北朝鮮情勢の緊迫化に合わせて実施するわけではないが、米国がミサイル防衛能力を確保する理由の一つが北朝鮮(の脅威)であるのは明白だ」と語った。
GBIによる迎撃実験は1999年~2014年6月に計17回実施され、うち9回成功している。従来は中距離弾道ミサイルなどを想定した実験だったが、今回の実験ではICBMを模して飛行速度を一層高めたとしている。
GBIはアラスカのフォート・グリーリー基地に32基、バンデンバーグに4基が配備されている。国防総省によれば今年末までに8基を増強する予定。
(引用以上)
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wikipedia-弾道ミサイル
弾道ミサイル(英: ballistic missile)は、大気圏の内外を弾道を描いて飛ぶ対地ミサイルのこと。弾道弾とも呼ばれる。弾道ミサイルは最初の数分の間に加速し、その後慣性によって、いわゆる弾道飛行と呼ばれている軌道を通過し、目標に到達する。
(引用以上)
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wikipedia-弾道ミサイル >> 分類
射程による分類
現在ある弾道ミサイルは以下のように分類することができる。ただしこの分類は厳格な定義では無い。MRBMを分類に入れない場合やSRBM-IRBMまでをまとめて戦域弾道ミサイル(TBM)と呼ぶ場合もある。現在のところ厳格に定義されているのは米ソ間におけるICBMのみである。
大陸間弾道ミサイル(ICBM)
射程約6,400km(4000マイル、ほぼ地球の半径に等しい)以上のもの。米ソ間で結ばれたSALT-IIでは、両国の首都地域(アメリカ合衆国東海岸とヨーロッパロシア)の距離を考慮して、射程5,500km以上のものと定義。
中距離弾道ミサイル(IRBM)
射程2,000-6,000km程度のもの。
準中距離弾道ミサイル(MRBM)
射程800-1,600km(500-1000マイル)程度のもの。
短距離弾道ミサイル(SRBM)
射程約800km(500マイル)以下のもの。
対艦弾道ミサイル(ASBM)
海上の艦船を対象としたもの。準中距離または中距離と同程度。
発射母体による分類
潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)
射程によらず潜水艦から発射されるもの。
空中発射弾道ミサイル (ALBM)
射程によらず航空機から発射されるもの。
など
(引用以上)
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wikipedia-GBI(ミサイル)(米国のICBM迎撃ミサイル、地上配備型)
GBI(英語: Ground Based Interceptor)は、アメリカ合衆国のミサイル防衛に用いられる弾道弾迎撃ミサイルである。
迎撃対象として想定される大陸間弾道ミサイル (ICBM) の飛翔経路は、加速しつつ上昇するブースト段階、慣性で大気圏外を飛行するミッドコース段階、大気圏に再突入して目標に向けて落下するターミナル段階より成り、アメリカのミサイル防衛計画においては、それぞれの段階に対応する迎撃手段がミサイル防衛庁の統括の下に開発されている。
ミッドコース段階の迎撃システムはさらに地上配備のGMD (Ground-based Midcourse Defense) と海上配備のSMD (Sea-based Midcourse Defense) に大別され、前者に用いられる迎撃ミサイルが本項のGBIである。
概要
少数の大陸間弾道ミサイル (ICBM) によるアメリカ合衆国本土への攻撃を想定してその迎撃能力の保有を目指す本土ミサイル防衛計画 (NMD) の一環として構想され、クリントン政権下の1996年より開発が始められた。続くブッシュ政権によって本土/戦域の区別を一本化されたミサイル防衛 (MD) へ引き継がれる。
ICBMのミッドコース段階はその飛翔経路の大部分を占めるため、迎撃側の対応時間が比較的長く得られるが、迎撃用のミサイルには長射程かつ大気圏外での迎撃能力が要求される。また、迎撃対象の探知と迎撃ミサイルの誘導管制についてもカバーすべき領域が広大なため、複数の長距離レーダーと宇宙配備センサーをネットワークで結び連携させる必要がある。
実際の迎撃手順は、早期警戒衛星(DSP衛星またはその後継となるSBIRS-High衛星)で敵対国からのICBM発射を探知した後、大遠距離の探知が可能な海上配備Xバンドレーダー(SBX)や機能向上型早期警戒レーダー (UEWR) で標的ICBMのコースを追尾し、得られた弾道情報を総合して戦闘管理および指揮・統制・通信センター (BM/C3) が迎撃を判断し、GBIを発射。宇宙追尾・監視システム (STSS) と称される低軌道の赤外線センサー衛星やXバンドレーダーからの情報を元に、GBIへ最新の目標指示データを渡しつつ迎撃コースに乗せる。
大気圏外に運ばれた重量70kgの迎撃体EKVはブースターから切り離され、冷却された赤外望遠イメージセンサーで標的であるICBMの再突入体を捉えて実弾頭と囮の識別を行い、4つのスラスターで自身の軌道を修正しつつ直撃する。迎撃体は炸薬を積まない運動エネルギー兵器であり、秒速7km以上の高速で衝突する際に生じる衝撃と熱で大量破壊兵器と目されるICBMの弾頭を無力化する。
開発
飛行テストは1997年に開始され、1999年10月2日に初の迎撃試験に成功した。当初はEKVの開発が先行し、2002年までのテストは退役したICBM (ミニットマンII)を代替のブースターとして流用することで行われた。その後は各種レーダーとの連携や、専用ブースターとの統合テストなどを漸進的に行い、2008年末の時点で14回中8回の迎撃テストに成功している。
開発製造の主契約企業はボーイングであり、迎撃体EKVおよび地上配備レーダーGBRをレイセオン、戦闘管理および指揮・統制・通信センター (BM/C3) をノースロップ・グラマンがそれぞれ担当している。ブースターは当初担当していたロッキード・マーティンの開発に遅れが生じたため、オービタル・サイエンシズに変更された。
2017年5月30日、北朝鮮のミサイル開発の進展を受けて迎撃実験を行い、ICBMを想定した標的に対する迎撃に初めて成功した。標的のミサイルはマーシャル諸島の実験場から発射され、カリフォルニア州の基地から発射されたGBIで迎撃した[1][2]。
配備
ミサイル防衛に使われる他の迎撃ミサイルが車載あるいは艦載の可搬プラットフォームで運用されるのに対し、大型の迎撃ミサイルであるGBIは地下のミサイルサイロに固定配備される。アラスカ州のフォートグリーリー基地およびカリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地に配備が開始されており、現在のオバマ政権においては合計30基を配備する方針が示されている[3]。
ジョージ・W・ブッシュ政権による東欧ミサイル防衛構想において、ブーストステージを2段に減らしたGBIの派生型をポーランドへ配備することが検討されていたが、それに反発するロシアの間で外交上の課題になっていた(新冷戦)。その後、オバマ政権はイランのICBMの脅威は低いと判断し、スタンダードミサイル SM-3配備へ計画を変更した。
諸元・性能
全長: 16.8 m
直径: 1.27 m
推進装置: 3段式固体ロケット
発射重量: 12,700 kg
速度: 未詳
迎撃高度: 未詳 (2000km?)
迎撃半径: 未詳
弾頭: 大気圏外迎撃体 EKV (Exoatmospheric Kill Vehicle) - 液体推進薬スラスター
(後略)
(引用以上)
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wikipedia-ミサイル防衛
ミサイル防衛(英語: Missile Defense, MD)又は弾道ミサイル防衛(英語: Ballistic Missile Defense, BMD)は、主に弾道ミサイルからある特定の区域を防衛すること及びその構想である。ミサイル防衛は時代と共にその名称が変遷してきている。
(引用以上)
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wikipedia-ミサイル防衛 >> アメリカのBMD構想
弾道ミサイル迎撃の方法としては発射直後のブースト段階で破壊するもの、発射後大気圏外で慣性飛行している段階で破壊するもの、着弾前の再突入段階で破壊するものの3つに分けられる。基本的にこの3つは個々で使用されるわけではなく、あわせて使用され撃墜率を高める。
弾道ミサイルは射程1,500km程度なら秒速4,000m、5,500kmなら秒速6,000m、大陸間弾道ミサイルなら秒速8,000m以上で飛行し、射程1,000km以上の物なら現状では2段式から3段式になることから、長射程の弾道ミサイルほど開発するのが難しく、コストもかかり信頼性も落ちる。しかし長射程の弾道ミサイルになれば成る程、迎撃側のミサイル防衛システムの方が更に極端な高性能化(相手の速度が極大化する)が要求される事になり技術的な難易度は高くなる。
ミサイル防衛で使用される兵器は、弾道弾を所持する国家に対してその効用を全く失わせる万能兵器では無く、政治的な圧力をかける為の兵器でもない。弾道弾と大量破壊兵器を併せ持つ国家は増えるばかりだが、その種の国家の武力的恫喝に対する限定的な対処手段にすぎない限界を持っている。
早期警戒と指揮統制
弾道ミサイルの発射は早期警戒衛星によって探知される。衛星による早期警戒情報は極めて重要で、PAC-3開発時の推定によれば、早期警戒衛星の情報が無い要撃部隊単体での期待要撃率は、早期警戒衛星の情報がある場合に比べて半減するものと考えられている。
そのための衛星として現在はDSP衛星が用いられているが、その後継として宇宙空間赤外線システム(SBIRS) 衛星が開発されている。SBIRS衛星においては、DSP衛星と比して、探知精度は5倍以上に向上している。これらはいずれも高感度の赤外線センサーを搭載し、特徴的な熱源を探知して、即座に地上ステーションに通報する。その情報は、アメリカ本土のMCS (Mission Control Station) または日本やドイツ、韓国の米軍基地に配置されたJTAGS (Joint Tactical Ground Station) で受信される。
これらの早期警戒情報は、アメリカ四軍の統合情報配布ネットワークであるIBS (Integrated Broadcast Service)によって各部隊に送信されることになる。アメリカ軍のイージスBMD艦においては、IBSに接続するための端末であるJTT (Joint Tactical Terminal)が配備されており、IBSで配布された早期警戒情報を受信することができる。
また、早期警戒情報に続いて、発射された弾道ミサイルを識別・追尾するため、低軌道を周回するSTSS衛星(旧称SBIRS(Low))の配備も進められている。衛星以外にも、航空機搭載型の赤外線センサーも研究されており、日本においては、エアボス (AIRBOSS)として試験が行われている(#日本におけるミサイル防衛)。
上昇段階(ブースト・フェイズ)
ブースト段階での迎撃の利点は、ミサイル自体がまだ低速で、また弾頭を切り離す前であるため大きいことから、迎撃が比較的容易であることである。逆に欠点としては、迎撃手段が常に対応可能な位置にいるとは限らないことである。またその性質上、敵領空内での迎撃となる可能性が高いため、制空権が確保されていない場合使用が困難でもある。この段階での破壊に用いられる兵器としては、ABL (Airborne Laser) やKEI (Kinetic Energy Interceptor) が挙げられる。
ABL (Airborne Laser) はレーザーを使用しブースト段階のミサイルを破壊しようとするものであり、アメリカ空軍において、AL-1 として2011年まで開発していた。これは、サイエンス・フィクション的な威力によってミサイルを焼き切ったりするものではなく、弾道弾が上昇中のほんの一時期、ロケットモーターが全力で推進している状態でレーザー光を照射する事により高圧状態のミサイル本体、特に推進剤タンク部分の外板に負荷を掛けて、ロケットを自爆させる兵器である。この原理上、燃焼が終了したミサイルには効力がない。つまり、ABLを領空内に侵犯させない限り、広い国土を持つ大陸国家(アメリカ、ロシア、中国、インド)相手の迎撃は、その射程(200-300kmを想定)から見て不可能である。
詳細は「AL-1 (航空機)」を参照
KEI (Kinetic Energy Interceptor) は大型の対空ミサイルで、この後の段階での迎撃に用いられているスタンダード・ミサイル3型(SM-3)やTHAADミサイルと同様、直撃によって目標を撃破する運動エネルギー投射体(Kinetic projectile)を使用する。地上発射型と、艦船搭載型の開発が進められている。
詳細は「運動エネルギー迎撃弾」を参照
中間段階(ミッドコース・フェイズ)
目標となる弾道ミサイルが宇宙空間を慣性飛行している段階で、これを迎撃するために使われる兵器としてはイージス弾道ミサイル防衛システムのスタンダード・ミサイル3型(SM-3)や、地上発射型のGBI(Ground Based Interceptor)が挙げられる。
なお、これらSM-3、GBIミサイルのいずれも、最終段階においては赤外線で目標を追尾し、ロケット・スラスターで微調整しつつ、直撃による運動エネルギーで目標を撃破する運動エネルギー投射体を使用しており、SM-3ではLEAP (Light weight Exo-Atmospheric Projectile:軽量大気圏外投射体)、GBIではEKV (Exo-Atmospheric Kill Vehicle: 大気圏外迎撃体)と呼ばれている。
イージスBMDとSM-3
詳細は「イージス弾道ミサイル防衛システム」および「RIM-161スタンダード・ミサイル3」を参照
イージスシステムはもともと優れた防空システムであるが、ミサイル防衛任務に使用するため全体に改修が必要とされた。
従来、対空ミサイルとして使用されてきたRIM-66/67/156スタンダード・ミサイル2型(SM-2)は航空機迎撃用であり、高高度での弾道ミサイルの迎撃は不可能(SM-2は空力操舵タイプ)である。このため、弾道ミサイル迎撃専用のRIM-161スタンダード・ミサイル3 (SM-3)が新たに開発され、これがイージスBMDシステムの主たる武器となる。
また、このスタンダードSM-3を適切に運用し、さらに高高度の弾道ミサイルを正確に捕捉・追尾するため、AN/SPY-1レーダーをはじめとして、イージス・システムそのものにも全体的な改修が必要となる。
これらの改修はスパイラル開発のコンセプトに基づいて、イージスシステムそのものとは独立して進められており、2008年12月の時点で、アメリカ軍においてはイージスBMD3.6と呼ばれるバージョンが実戦配備されつつある。これは、2004年より進められてきた開発の最初のブロック(Block 2004)の最終型で、弾道弾の追尾能力とSM-3ブロックIAの発射能力を兼ね備えており、イージスBMDの初期配備体系とされている。
イージスBMD艦は、弾道ミサイル発射を知らせる早期警戒情報を受けて、通報された方向を中心に、特定の範囲にAN/SPY-1レーダーの能力を集中させて、濃密な走査を実施する。このとき、AN/SPY-1の最大探知距離は1,000km以上にも達すると言われている。
ちなみに2009年の飛翔体対処の事例において太平洋側のイージス護衛艦きりしまが追尾終了と報告したのはIRBMクラスの飛翔形態において1,100km地点であった[3]。
SPY-1レーダーが目標を捕捉・追尾すると、その情報はイージス・システムの戦術情報処理装置(C&DとWCS)に入力され、射撃諸元が計算されて、SM-3が発射される。
演習上のSM-3ブロックIAの交戦高度は通常150km程度で実施される[4]が、これは射程1,500km程度の準中距離弾道弾(MRBM)を想定し弾道コースに直交する要撃状況(当然防護範囲は広くなり、一隻で日本列島の半分をカバー出来る)のデータであり、ヘッドオン(正対迎撃)の場合には高度500kmの弾道弾(射程3000-5500程度の弾道ミサイルに相当)軌道頂部で迎撃が可能とされている。高度70〜500km対応可能。
さらに、2012年より配備される予定のイージスBMD5.0においてBMDと通常対空戦のプログラムは統合されてSM-3ブロックIBに対応し、2015年より配備開始されるイージスBMD5.1においてはSM-3ブロックIIAに対応できるようになる。ブロックIIAは射程と迎撃精度と威力が向上しており、より高速で高射程の射程5,500km程度の中距離弾道弾(IRBM)や上昇段階(ブースト・フェイズ)の最終段階まで迎撃可能になる予定であり2018年から実戦配備予定である。さらにブロックIIBでは多弾頭型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)にも対応する予定であるといわれていたが開発が凍結されている。
SM-3システムは、より高度な迎撃試験が段階的に繰り返し実施されていて、現在まで非分離型弾頭の迎撃、分離型弾頭の迎撃、分離型弾頭と推進部の2弾同時迎撃、弾道弾と航空機の同時迎撃などを、システムエラーや標的ミサイルの発射不能などの事例による失敗以外のほとんどで成功を収めている。
Xバンド・レーダーとGBI
GBI (Ground Based Interceptor) は大陸間弾道ミサイル (ICBM) よりアメリカ本土を防衛することを目的とした地上発射型の3段式迎撃ミサイルで、07年末までにカリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地に3 発、アラスカ州フォート・グリーリーに21発が配備された。2009年末には計40発にする計画である。
これに加えて、ポーランドに発射基地の建設を計画していたが、ロシアの反発を受けたこともあり、オバマ政権がイランのICBMによる脅威は低いとしてスタンダードミサイル SM-3の配備に変更された。ポーランドに配備されるはずだったGBIは、アメリカ本国に配備されているものから3段目のブースターを取り去った2段式となるとされていた[5]。
また、GBIシステムにおいて、目標の探知・追尾に用いるため、大型のXバンド・レーダーが開発されている。このうち、海上配備型のXバンド・レーダー (SBX: Sea-Based X-Band Radar)が既にアラスカに配備されており、推定探知距離は5,000kmとされている。また、地上配備型のXバンド・レーダーであるXBRも開発されており、プロトタイプのGBR-Pは1998年より、クェゼリン環礁のUSAKAにおいて試験中である。
なお、日本の車力基地に配備されているAN/TPY-2は、同じXバンドを使用するが、終末段階での目標捕捉を目的として、探知距離はより短い。軍用レーダーにおいて、Xバンドは本来、近距離での目標追尾に多用される周波数で、遠距離での捜索用に使用するにはアンテナが巨大化する為あまり用いられない。
詳細は「海上配備Xバンドレーダー」および「GBI (ミサイル)」を参照
終末段階(ターミナル・フェイズ)
終末段階、目標となる弾道ミサイルが再突入している段階で弾頭の迎撃に成功したとすると、弾頭の残骸や弾頭内の放射性物質が迎撃国領内に降り注ぐ可能性はある。だが、この事象による環境への影響は、原子力発電所の爆発事故や核爆発と比較すると、無視できるレベルと考えられている。
この段階での迎撃に使用される兵器としてはTHAAD(Terminal High Altitude Area Defense)、パトリオットPAC-3システムが挙げられる。
THAADミサイル・システム
THAADミサイルは、主として大気圏外での迎撃を想定して開発されており、KEIやSM-3、GBIと同様に、赤外線で目標を追尾し、ロケット・スラスターで微調整しつつ、直撃による運動エネルギーで目標を撃破する運動エネルギー投射体を使用しており、THAADではKKV (Kinetic Kill Vehicle: 運動エネルギー迎撃体)と呼称されている。
システムの再設計もあって計画は遅れたが、2009年より配備が開始される見込みであり、また、THAADミサイル・システムの一部であるXバンド、フェイズド・アレイ・タイプの移動式レーダー (FBX-T)は、その優れた探知能力を買われ、先行してAN/TPY-2として制式化され、2006年6月、青森県の車力分屯基地に前方配備された。
詳細は「THAADミサイル」を参照
パトリオットPAC-3システム
一方、パトリオットPAC-3システムは既に実戦配備が開始されており、2003年のイラク戦争でも使用された。
基本的には、従来高射部隊によって使用されてきたパトリオットミサイル・システムをベースとしてはいるが、ミサイル本体が直撃することによる目標撃破を主眼として新規開発されたPAC-3ミサイルを主用し、また、射撃指揮装置もリンク 16に対応するなど改修されている。ただし、対弾道ミサイル攻撃においては射程が20kmと短く(対航空機射程は80km超)、迎撃可能範囲が小さいという問題が指摘されている。また、射程の短さに伴って交戦機会が少ない。また終末速度が極めて高速になる大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)には対応できないものとみられている。
PAC-3による防護範囲は、速度がマッハ6強(2km/秒)程度となる短距離弾道ミサイル(SRBM)に対しては、発射機より左右に各35km、前に40km、後に10kmの扇状の範囲(ギターのピックの形状・フットプリント)を迎撃できるが(PAC-2GEM+の能力が大きい)、ノドンなど、日本において直面する可能性の高い準中距離弾道ミサイル(MRBM)攻撃(速度マッハ10=3.7km/秒)程度では、半径20kmの扇状の範囲にまで縮小する。
ちなみにこの広さは市ヶ谷を起点として東京23区西部境界程度迄の広さ程度で、1個高射群に2個の発射機(即応弾各16基)、無線指揮車(無線によるリモートランチは30キロ圏程度可能)により部隊分割使用で最大8個までの首都圏近郊の高射部隊の発射機の内、埼玉からと、千葉からの展開で、市ヶ谷,朝霞,習志野の三点をもって首都枢要部をカバーできる能力に相当する。
湾岸戦争以来の開発の継続により、弾頭の改良、管制ソフトウエアのバグフィックス・アップデート、ロケット本体の新型化による高機動性の確保、即応弾の4倍増化、短射程を補うリンクシステムによる広域分散配置での要撃覆域の広域化を実現させ、イラク戦争時の実戦使用の戦訓[6]をもってほぼ仕様内での能力を確保することに成功した。
なお、PAC-3は直撃を旨とするものの、225グラムペレット24個と高性能炸薬も搭載しており、弾道弾の撃墜の可能性を高めるとともに、生物・化学兵器の無力化を狙っている。
詳細は「パトリオットミサイル」を参照
(引用以上)
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改訂履歴
※2017.8.10、誤記訂正、冒頭部分
※2017.8.10、誤記訂正、「※GBI以外の弾道ミサイル迎撃ミサイル」欄
※2017.8.9、新規作成
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